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MMWR(2017.1/27発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.01.30

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: January 27, 2017 / Vol. 66 / No. 3

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1.浸潤がんの発生率と生存率(合衆国, 2013年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a1.htm?s_cid=mm6603a1_w
2013年(発生率および生存率のデータが入手可能な最新の年)の全米がん統計データセットによれば、合衆国(ネバダ州を除く)において計1,559,130の新規浸潤がん患者が診断。
男性では年間10万人あたり479症例、女性では413症例。
全部位のがん発生率は、州によって開きがあり、10万人あたり364人-512人、プエルトリコでは10万人あたり359人。
Healthy People 2020の設定した、がん発生率減少目標値については大腸がんに関して30州、子宮頸がんに関して28州が達成。
がん診断後の五年生存率は、だいたい3人中2人。

2.異常健忘症候群の集積(マサチューセッツ州、2012-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a2.htm?s_cid=mm6603a2_w
上記の期間、上記州において、急性、完全、かつ両側性の海馬虚血を伴う急性発祥の健忘症14例の特異な集団発生が同定。
明確な病因は存在しないが、初回評価時に、14人のうち13人がオピオイド陽性もしくは、過去にオピオイド使用歴あり。
19-52歳と比較的発症は若年、薬物使用との関連を調査する必要あり。

3.生殖可能年齢の性経験のある女性における骨盤内炎症症候群(PID)有病率(合衆国、2013-2014年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a3.htm?s_cid=mm6603a3_w
2013-2014年の全米健康栄養調査によれば、自己申告による生涯PID有病率は、性経験あり生殖可能年齢女性の4.4%であり、全米の18-44歳の女性250万人に相当。
自己申告による生涯PID有病率は、性行動および性感染症の既往歴の有無によって開きあり。
性病の既往のない女性においては、人種によって有病率がやや異なっていた。
(性病の既往がある女性では黒人・白人とも10%、既往のない女性では黒人6%、白人3%)

4.先天性異常による出生時死亡(IMBD)と出産費用の給付元との関連(合衆国、2011-2013年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a4.htm?s_cid=mm6603a4_w
妊娠費用がメディケイドにより保険給付を受けた早産児におけるIMBD率は、民間保険により給付を受けた早産児と比較して新生児期で12%、新生児以降で49%高かった。
妊娠費用がメディケイドにより保険給付を受けた正期産児におけるIMBD率は、民間保険により給付を受けた早産児と比較して新生児期で44%、新生児以降で45%高かった。

5. 現場から:生地ミックスに関連した複数の州にまたがる大腸菌O157:H7集団発生(合衆国、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a6.htm?s_cid=mm6603a6_w
2016年1月4日、CDC PulseNet(食中毒病因物質の分子的サブタイプを登録するネットワーク)が同一の電気泳動パターンを持つ大腸菌O157:H7の10症例集積を同定。
他の解析によっても集積と判定されたため、CDCは地元の保健および農業機関やFDAと連携し調査開始。
結果、9州の13人が同定され、12人の情報を入手。8人が入院。うち2人は溶血性尿毒症症候群。死亡は0。
12人中9人は地元の全国チェーン店で発症前週に食事をしており、8人はある製造会社が製造した生地ミックスを用いたデザートピザを摂取。
もう一人も同じ生地を使用したパンを摂取していたことが判明。
2月4日、同チェーン店は同生地使用を中止。各チェーン店の88の生地サンプルを調査したところ7サンプルから非O157志賀毒素産生大腸菌を検出。
生地ミックス製造会社の6サンプルを調査したところ、O157:H7は検出されなかったが1サンプルから志賀毒素産生大腸菌O8:H28検出。ただしいずれも病原性は弱かった。
検査では証明されなかったものの、生地が食中毒の原因である蓋然性は非常に高く、小麦粉による大腸菌やサルモネラ菌混入可能性について周知させなければならない。

6.現場から:エボラ調査担当者の増加による影響(シエラレオネ、Kambia地区、2014年9月-2015年9月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a7.htm?s_cid=mm6603a7_w
Kambiaはシエラレオネにおける14地区の1地区。人口は約34,400人。
2014年9月4日エボラの初症例発生。同地区健康管理チームの3人の疾患調査担当者が患者発生に伴い、隔離や感染源特定を開始するものの1人あたり115,000人を調査しなければならないため人手が足りず、感染拡大。
2014年10月、人員を初めて補充。2015年4月までにエボラ調査担当者は25人にまで増加。Kambiにおける最後のエボラ患者は2015年9月9日に発生した患者で、それまでに出たエボラ患者は286症例。
エボラ調査担当者の大幅増加は2回あったが、いずれも直後にエボラ患者発生が急減しており、特に2回目の人員増加後にエボラが終息していることから、人員増加による発生減少への効果は大きかったと思われる。

7.統計早見図:65歳以上の成人における無歯の割合、年齢別、人種別(全米健康調査、2011-2014年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6603a12.htm?s_cid=mm6603a12_w
上記の期間における65歳以上の成人の17.6%が無歯。
75歳以上(23.0%)では、65-74歳(13.9%)と比較して無歯となる可能性が高かった。
65歳以上の黒人(27.0%)は、白人(16.2%)、アジア系(18.0%)、ヒスパニック系(16.4%)に比べて無歯の割合が高かった。

(今週の感想)
がん発生率については地図上に高発生率、低発生率の州の図示でもあれば、地域性が見られたかもしれません(数値があるため、地図の自作は可能です)。
保険によってIMBD率が大幅に違うというのは重大な問題ですので、もっと医療補助を出すわけにはいかないのでしょうか。
小麦粉による大腸菌感染というのはちょっと盲点だった気もします。

インフルエンザなどの予防のため、手洗い励行、うがい、続けていきましょう

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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