さまざまな分野の公衆衛生専門家の集まる情報ネットワーク

トップ >> 公衆衛生関連のNEWSの検索 >> MMWR(2017.6/9, 6/16発刊)
閲覧回数

MMWR(2017.6/9, 6/16発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.06.18

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: June 9, 2017 / Vol. 66 / No. 22

***********************************************************************

1.診断された薬物依存者における心内膜炎入院およびそれに関連した医療費(ノースカロライナ州、2010-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622a1.htm?s_cid=mm6622a1_w
上記地域では、病院退院データの分析により、薬物依存者の心内膜炎入院件数が上記期間中に約12倍増加したことが確認。
患者の大多数は非ヒスパニック系、白人、40歳未満の田舎、農村部出身であり、米国全体のオピオイド流行の傾向と一致。
また、患者の約1/3がC型肝炎ウイルスに感染。
心内膜炎の各入院費用は平均して50,000ドル以上、入院の42%はメディケイド加入者か無保険者。
薬物依存者に関連した心内膜炎の入院の総病院費用は、上記期間中に18倍に増加。

2.妊娠中のジカウイルス感染予防対策(プエルトリコ、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622a2.htm?s_cid=mm6622a2_w
最近出産したプエルトリコ女性の98.1%は、妊娠中、自宅で蚊を避けるために少なくとも1つの手段を用いている。
しかし、毎日防虫剤を使用している女性は半数以下(45.8%)で、10人に1人しか長袖のシャツやパンツを着用していない。
性的に活発な妊婦のうち、38.5%は性交渉を控えるか、コンドームを使用。
ほとんどの女性(94.3%)は、妊娠中のジカウイルス感染に関する情報を医療提供者から受けていた。
また、回答者の約3/4(76.9%)が、妊娠第1期もしくは第2期にジカウイルス検査を行った。

3.日本脳炎(JE)予防接種(アジア、西太平洋地域、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622a3.htm?s_cid=mm6622a3_w
JEリスクのある、日本を含む24カ国のサーベイランスおよび予防接種プログラムのデータをレビューしたところ、
2016年には22カ国が少なくともJEサーベイランス実施、12カ国はJE予防接種プログラムを実施。
JE予防および管理対策には大きな進歩が見られるが、不完全な症例報告、症例の誤分類、予防接種プログラムモニタリングデータの欠如、
ワクチン導入後のJEワクチン接種率のモニタリングの不十分な監視など、依然課題は多い。

4. バイタルサイン:医療に関連した(広義の院内感染)レジオネラ症調査データ、20州および大都市圏(合衆国、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622e1.htm?s_cid=mm6622e1_w
全米サーベイランスシステムから合衆国の21管轄区において発生した2,809レジオネラ症例を解析(2015年に発生した全レジオネラ症例の90%以上を網羅)。
85症例(3%)が医療関連と確定。468症例(17%)が医療関連疑い。
医療に関連した感染が発生したのは16管轄区域(76%)の72医療機関(15病院と57長期療養施設)。主に60歳以上が罹患(確定:75、疑い:88%)。
致死率は、確定症例で25%、疑い症例で10%。

5. 現場から:水中出産新生児における2例のレジオネラ症例(アリゾナ州、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622a4.htm?s_cid=mm6622a4_w
1例目は1月6日に水道水で満たされた浴槽で出生した新生児でアプガースコアは1分:5/10、5分:9/10。
翌日、急性呼吸促迫、頻呼吸、低酸素血症を発症。当初はうっ血性心不全と思われたが、気管支肺胞洗浄を行ったところ、レジオネラ陽性。
アジスロマイシン10日間投与後も、2ヶ月入院した。
浴槽は酢と水によりあらかじめ清潔にしていたようだが、レジオネラ感染は浴槽からと思われる。
2例目は4月5日に自宅の浴槽で出生した新生児で生後3日目に発熱。新生児敗血症、肺炎として治療したが4月12日に気管支分泌液からレジオネラが出たためアジスロマイシン10日間投与後退院。
予防方法として、浴槽を水で満たす直前に、ホースを熱湯で3分間ほど消毒しておくことなどがあげられる。

6.統計早見図:自動車事故、自殺、殺人に伴う平均死亡数、曜日ごと(全米動態統計システム、合衆国、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6622a5.htm?s_cid=mm6622a5_w
2015年には、1日に平均103人の自動車の傷害死、121人の自殺、49人の殺人が発生。 自動車事故死は土曜日と日曜日に発生する可能性が高く、火曜日に発生する可能性が最も低い。
自殺率は月曜日と火曜日に最も高く、土曜日に最も低かった。
殺人は日曜日が最多、次は土曜日で、平日には起こりにくかった。

MMWR: June 16, 2017 / Vol. 66 / No. 23

***********************************************************************

1.中高生における喫煙(合衆国、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a1.htm?s_cid=mm6623a1_w
2016年には、高校生では5人に1人、中学生では14人に1人が、過去30日間に喫煙(390万人)。
2015-2016年には、中学生の間で電子タバコの使用が減少。高校生ではすべての種類のタバコの喫煙が減少。
2011年-2016年を見ると、タバコと葉巻使用は減少したが、電子タバコ使用の増加によって相殺されたため、中高生喫煙者数には有意な差は認めなかった。
2016年では、電子タバコは高校生の11.3%、中学生の4.3%で使用され、最も人気のあるタバコ製品であった。

2.8年生と11年生における電子タバコ使用(オレゴン州、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a2.htm?s_cid=mm6623a2_w
2015年では、電子タバコは喫煙経験のないオレゴン州の8年生、11年生の初回喫煙時に最も使用されるタバコであった。

3.慢性ライム病患者たちの治療中に起きた重症細菌感染(合衆国)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a3.htm?s_cid=mm6623a3_w
慢性ライム病へ、有用性の証明されていない抗生剤投与を行った患者において発生した、敗血症性ショック、Clostridium difficile腸炎、
骨関節炎、膿瘍、死亡の5症例が報告されている。

4.「女性、乳児、児童に対する特別補助栄養プログラム」に参加した乳児における、母乳栄養の傾向(ニューヨーク州、2002-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a4.htm?s_cid=mm6623a4_w
母乳栄養乳児の割合は2014年にHealthy People 2020の目標81.9%を超過。
人種間格差も2002年の26.5%から2015年の9.2%に減少。
ただ、母乳育児期間6ヶ月以上は39.5%(目標値は60.6%)、追加3ヶ月以上は14.3%(目標値は46.2%)であり、割合は増加しているものの目標達成までは程遠い。

5. 妊娠中のジカウイルス母体感染後の妊娠アウトカム(合衆国領土、2016年1月-2017年4月25日)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623e1.htm?s_cid=mm6623e1_w
上記地域では、ジカウイルス感染疑い妊婦から出生した胎児・幼児の約5%(2,464出生中116)にジカウイルス関連先天異常あり
2016年に米国本土でのジカウイルス感染でも同様の割合。
どの妊娠期に於ける感染でもジカ関連の脳異常、小頭症を含む先天性が報告。
(第1期では8%、第2期では5%、第3期では4%)。

6.現場から:天然ガス会社労働者におけるプラズマ細胞増殖症の患者クラスター
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a5.htm?s_cid=mm6623a5_w
プラズマ細胞増殖症はプラズマ細胞の単クローン性増殖で、多発性骨髄腫、Waldenstrom マクログロブリン血症(WM)、MGUS、アミロイドーシスを含む。
会社からの依頼により、患者クラスター調査を開始。1300人の労働者中13人の患者が同定(2人は現役、11人は退職)。
MGUSが5名、骨髄腫が4名、WMが3名、免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスが1名。
骨髄腫、多発性骨髄腫の割合については一般集団と異ならなかったが、希少疾患であるWM(年間100万人中3名発生)については有意に多かった。
調査を進めた結果、原因として有機溶剤が疑われたが患者は暴露しておらず、現在も確かな原因は不明のまま、調査を継続中。

7.アナウンスメント
地域予防サービスタスクフォースによる、2型糖尿病のためのチームケアに関する勧告
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a6.htm?s_cid=mm6623a6_w
上記リンク参照

8.統計早見図:ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されたことのある4-17歳児童の割合、性別、在住郡の規模別(全米健康調査、2013-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a7.htm?s_cid=mm6623a7_w
すべての都市の規模においてADHD診断を受けた児童の割合は、男児>女児。
男児では、小規模都市圏(17.4%)では大規模都市圏(11.4%)よりもADHD診断の割合は高く、
女児では、大都市圏在住者は、他の規模の都市よりもADHD診断の割合は低かった(4.4%)。
***********************************************************************

(今週の感想)
遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
2週まとめてお送りいたします。
電子タバコについては、中高生の喫煙誘導の役割を果たしているかもしれません。

********************
佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


公衆衛生関連のNEWSの検索へ戻る

公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
TEL.03-5212-9152/FAX.03-5211-0515

〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3都道府県会館15F