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MMWR(2017.7/21, 2017.7/28発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.07.29

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: July 21, 2017 / Vol. 66 / No. 28

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1.成人女性が被害者の殺人に関する人種格差とパートナー間暴力(IPV)の関わり(合衆国、2003-2004年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a1.htm?s_cid=mm6628a1_w
女性が被害者の殺人発生率は全年齢層、全人種においてみられるが若年成人および人種マイノリティにおいて高頻度。
背景事情の判明している殺人の半数以上はIPV関連。特に口論や嫉妬が背景として多かった。
IPV関連殺人被害者の10人に1人は前月に暴力を経験していた。

2.15-44歳における珪性肺塵症による死亡サーベイランス(合衆国、1999-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a2.htm?s_cid=mm6628a2_w
1999-2015年に発生した、15-44歳の珪性肺塵症死亡者55人のうち、38人(69%)はその他の珪素含有鉱物、 17人(31%)は滑石(Talc)粉塵によるものであった。
その他の珪素含有鉱物による塵肺症死亡者の死亡診断書に記載されている職種としては製造業や建設業が多く、珪石による塵肺症死亡者と共通していた。
一方滑石粉塵による17人の塵肺による死亡者のうち、13人(76%)は多剤使用または薬物過剰摂取者であり、滑石に曝露する職種ではなかったため、職業以外の曝露が疑われる。


3.麻疹撲滅に向けての進展(バングラディッシュ、2000-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a3.htm?s_cid=mm6628a3_w
バングラディッシュでは2018年までに麻疹排除状態とする目標を掲げている。
上記期間にMCV1ワクチン接種率は74%から94%まで増加。
2012年から導入された2回目の接種率については2013-2016年で35%から93%にまで増加。
2005-2006年、2010年、2014年には補完として1億890万人に接種。
麻疹発生率は100万人あたり40.0から6.0%に85%低下。
排除への課題としては予防接種率の低さとサーベイランスシステムの不備がある。

4. 現場から:急性弛緩性麻痺(AFM)の小児5症例によるクラスター(アリゾナ州Maricopa郡、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a4.htm?s_cid=mm6628a4_w
2014年ころからAFM症例数は増加。
2016年9月アリゾナ州の急性期病院で小児11人からなるAFM疑いクラスターが確認。
うち6症例はAFMの診断基準に適合せず、1例は脳MRI所見がAFMに合致せず、確定診断は4症例。
うち3症例の鼻腔咽頭スワブからエンテロウイルスEV-D68が検出。病因に関連ある可能性あり。

5.  現場から:未熟児に汚染されたヒト母乳を与えたことに関連するCronobacter sakazakii(サカザキ菌)感染(ペンシルベニア州、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a5.htm?s_cid=mm6628a5_w
2016年、29週で出生したNICU入院の新生児が生後29日で敗血症発症。
検体からサカザキ菌が検出され、周辺の調査したところ母親が使用している搾乳器のバルブから同菌が検出。
同キットの洗浄、消毒が十分でなかったとみられる。

6.現場から:水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)ワクチン関連紅斑を発症した患者調査(メリーランド州、2015年2月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a6.htm?s_cid=mm6628a6_w
メリーランド州ではルーチンにVZVワクチンを50歳以上の成人に接種しているが、ギリシア出生で過去にVZVワクチンを接種したことのない
抗リウマチ薬を投与されている51歳男性がVZV弱毒性生ワクチン接種後、全身紅斑発症。
患者にはヴァラシクロビルが投与され、接触者についてもすでにVZV免疫を有していると確認ずみ。

7.アナウンスメント:地域予防タスクフォースによる、乳がん、子宮頸がん、大腸がん検査を増加させるための複数の介入に関する勧告。
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a7.htm?s_cid=mm6628a7_w
上記リンク参照

8.統計早見図:クリニックをベースとしたプライマリ・ケア医における、新規患者の受け入れ割合、支払い源別(全米電子健康記録サーベイ、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6628a9.htm?s_cid=mm6628a9_w
全体的にはプライマリ・ケア医の88.9%が新規患者を受け入れたと報告。
しかし94.2%が民間保険に加入している新規患者を受け入れていたのに対し、新規メディケア患者、新規メディケイド患者を受け入れていたプライマリ・ケア医の割合は
それぞれ77.4%、71.6%で民間保険加入患者より有意に低かった。

MMWR: July 28, 2017 / Vol. 66 / No. 29

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1.CDCグランドラウンド:幼児早期における健康格差について
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a1.htm?s_cid=mm6629a1_w
上記リンク参照、貧困の発達過程への影響、社会経済的因子(SES)の健康・犯罪・教育・就職への影響、脆弱性のある児童やその家族に対する支援、
行動や身体的健康、複数の現場間のサポート体制の構築(教育、家庭、コミュニティなど)、協力推進、について示されている。

2.C型肝炎撲滅のための国家的取り組みにおけるスクリーニングと治療の役割(ジョージア国、2015-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a2.htm?s_cid=mm6629a2_w
2015年4月28日-2016年12月31日のHCV罹患者は27,595人、治療完了は19,778人(71.7%)。
治療を完了し、治癒判定を行った6,366人(32.2%)中、5,356人(84.1%)はHCV治癒。
月ごとの治療開始平均人数は2015年4月−2016年5月で3倍に増加、同期間の治療対象者は
重度の肝障害患者にのみ限られていたが、2016年6月からはHCVに感染前例が治療開始対象に。
なお2016年の最後の3ヶ月間では、治療プログラムの参加者は減少、HCV感染検出と治療との連携が遅くなっている可能性あり。

3.外来における関節内注射に関連した敗血症性関節炎流行(ニュージャージー州、2017年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a3.htm?s_cid=mm6629a3_w
2017年3月、同州において外来診療時の関節内注射に関連した敗血症性関節炎41例が発生。
公衆衛生調査により、米国薬局方の記載基準によれば単回使用とされているバルク包装薬剤の調合および投与に関して、複数の違反が発見された。

4. 更新:民間旅行者に対する合衆国認可黄熱病ワクチンが一時的に不足しているため、現在のところ合衆国において認可されていないStamarilワクチンを暫定的に限定使用
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a4.htm?s_cid=mm6629a4_w
タイトル通り、Sanofi Pasteur社による認可されている黄熱病ワクチンが7月24日に完全に枯渇。
2018年の半ばにならないとストックを用意できないため同社がフランスで製造している、合衆国では認可されていないStamarilワクチンをそれまで限定的に使用可に。

5.  更新:ジカウイルス曝露の可能性のある妊婦へのケアに関する医療関係者のための暫定ガイドライン(合衆国領土を含む合衆国、2017年7月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a4.htm?s_cid=mm6629a4_w
上記リンク参照。

6.アナウンスメント:世界肝炎デー(2017年6月28日※おそらく7月28日の誤植)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a5.htm?s_cid=mm6629a5_w
全世界では約3億2500万人がHBV慢性肝炎やHCV肝炎に罹患していると推定。
2016年6月、世界保健総会はウイルス性肝炎に対する2016-2021年の戦略を打ち出し、2030年までにウイルス性肝炎を世界規模の健康脅威から除くことを目標とした。
CDCもジョージア国の「2020年までにC型肝炎を90%減少させる」という野心的な目標に関してこれまで数度に渡って報告している。

7.アナウンスメント:全米的なHIV予防とケア目的の特定事項に関するモニタリング
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a6.htm?s_cid=mm6629a6_w
CDCは診断をベースとしたHIV抑制効果をモニタリングしている。
2014年の推定HIV罹患者数は1100万人でうち85%が診断されていた。
38の行政地区における報告では、2014年時点では診断を受けたHIV罹患者の62%が医療ケアを受け、48%がケアを持続し、49%が検出以下に。

8.統計早見図:18歳以上の成人における、過去6ヶ月間において、疼痛のない割合、時々疼痛のある割合、ほとんどの日もしくは毎日疼痛のある割合、年齢調整済み(全米健康調査、合衆国、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6629a8.htm?s_cid=mm6629a8_w
2016年では、18歳以上の成人のうち過去6ヶ月間に、
疼痛のなかった者の割合は37.7%、時々疼痛のあったものは42.8%、ほとんどの日もしくは毎日疼痛のあったものは19.6%。
時々もしくは毎日疼痛のあったものの割合は、以前雇用されていた成人(30.4%)では、一度も雇用されていなかった成人(19.4%)や、現在雇用されている成人(15.1%)より高かった。
逆に疼痛を感じない割合は、一度も雇用されていなかった成人(42.0%)や現在雇用されている成人(39.9%)では、以前に雇用されていた成人(30.7%)よりも割合が高かった。

(今週の感想)
遅れてしまったため2週分一度にお届けいたします。
先週の記事で珪性肺塵症(silicosis)の話題がありましたが、pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis (珪性肺塵症)という、「一般的な英語辞書にも掲載されている一番長い単語」というのを思い出しました。
また今週は久々にジカウイルス記事がありました。

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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