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MMWR(2017.8/4発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.08.07

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: August 4, 2017 / Vol. 66 / No. 29

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1.臓器移植により感染した結核およびコミュニティ内結核流行(カリフォルニア州、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6630a1.htm?s_cid=mm6630a1_w
ドナー由来の結核は稀ではあるが臓器移植において起こりうる合併症であり、レシピエントにおいて結核感染者が出た場合は、
同一ドナーから移植された他の患者においても結核評価の必要がある。
2014年秋、CT上結核が疑われたが喀痰では陰性であったドナーが死亡し、心臓、両肺、肝臓、腎臓が移植。
移植3ヶ月後、両肺のレシピエントが結核発症。またドナーの接触者など5人に結核が確認され、遺伝子型検査の結果レシピエントと同一の結核菌であると確認。
臓器移植に由来した結核感染と思われる。

2.ワクチンにより予防可能な細菌による髄膜炎流行(ガーナ国北部、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6630a2.htm?s_cid=mm6630a2_w
ガーナ国北部はサハラ以南の、セネガルからエチオピアまで広がる「髄膜炎ベルト」に位置し、血清型A結合型ワクチン(MenAfrVac)が2012年に導入されるまでは定期的な髄膜炎流行があった。
2015年12月9日-2016年2月16日にガーナ北部において432の髄膜炎疑い症例あり。
286脳脊髄液検体において83例(62.4%)が髄膜炎菌陽性、44例(33.1%)が肺炎桿菌陽性、髄膜炎菌の99%は血清群W。
検査結果に基づき、2016年3月より高罹患率年齢層に髄膜炎菌多糖体ACWワクチンを135,679容量投与したところ、その後の髄膜炎発生数は激減。

3.現場から:ヒトアデノウイルス8型(HAdV-8)に関連した角結膜炎流行(米国領ヴァージン諸島、2016年6月−11月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6630a3.htm?s_cid=mm6630a3_w
上記期間、上記地域の全眼科医および救急外来において合計78角結膜炎症例確認。
年齢中央値は45歳、33人(42%)が男性、症状は充血(68%)、流涙(50%)、眼痛(29%)
45人の涙液スワブのうち19検体(42%)がHAdV-8陽性。遺伝子型はほぼ同一。
全眼科医に対し「手指衛生」、「患者と同医療施設内にいた患者の特定」「患者との目薬の共有の禁止」
「HAdVに効果のあると証明されている消毒剤使用」「有症状の従業員に対し休暇」といった事項の書かれたパンフレットを配布。

4. 現場から:HIV感染者に対する普遍的な治療プログラム(”Test and Start”プログラム)に関する予備的結果(レソト国、2015年10月-2017年2月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6630a4.htm?s_cid=mm6630a4_w
レソト国は南アフリカ共和国に完全に取り囲まれている山がちの国であり、約200万人の人口を有する。
2014年の統計では15-49歳の24.6%がHIV感染者であり、100人年あたり1.9人のHIV新規感染者が出ている。
エイズ死亡のため195カ国中最も平均余命が短い国であり、2016年4月、レソトはサハラ以南アフリカにおいて初めて、WHOの推奨する普遍的な抗ウイルス治療ARTプログラム(”Test and Start”プログラム)を行うことを採択。
同プログラム以前はHIV感染者であってもCD4数が500を切らない限り治療が開始できなかっため、HIV陽性者の42%にしかARTは行われず。
エイズ救済に対する大統領緊急プランにより、HIV感染者の75%をカバーできるように国内の5つの地域に120の治療拠点を設置。
設置後、プログラム開始前の8ヶ月では14,948のHIV陽性者に対しART開始。
開始後9ヶ月では30,146症例に対しART開始。79%の増加で男性感染者の80%、女性感染者の79%をカバー。
HIVの疫学的コントロールには感染者の80%に対し治療を行う必要があり、このまま持続すれば目標達成にむけての前進となるだろう。

5.  統計早見図:15-19歳の自殺率、性別(合衆国、1975-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6630a6.htm?s_cid=mm6630a6_w
上記年齢の少年の自殺率は1975-1990で人口10万人あたり12.0人から18.1人に増加、2007年には10.8人に減少、しかし2015年には14.2人となり31.2%増加。
ただ2015年の自殺率は1980-1990のピークよりは低かった。
少女自殺率については一貫して少年よりも低いものの1975-2007年の傾向は少年と類似(1975-1990年に2.9から3.7まで増加、1990-2007に減少)。
しかし2007年から2015年に2倍となっており(2.4から5.1に)、2015年の少女自殺率は1975-2015年の期間で最大。

(今週の感想)

臓器移植による結核感染という興味深い記事や、ガーナやレソトにおける、公衆衛生の重要性を認識させる記事、合衆国における近年の少年少女の自殺率の増加傾向という気になる記事がありました。
今月は国際疫学会が埼玉であります。どうかご参加ください。

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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