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Re: がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2015年全国集計など

6 がん 18 統計(人口・保健・医療・福祉・社会・経済) 3 調査・統計資料 2017.08.09

情報、ありがとうございました。
早速、報告書を読みました。
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html
http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv_2008.pdf

生存率のデータの公表は重要ではありますが、我が国のがん患者の生存率測定の問題点について指摘したいと思います。

報告書p.4には、
「先行して施設別情報を含めて公表をしてきた全国がん (成人病)センター協議会の集計結果を踏まえて、生存状況把握割合 1):90%を基準として、この基準を全がんに おいて達成した施設のデータのみを集計の対象とした。 この生存状況把握割合は国際的には 95%以上が望まし いとされており、わが国の院内がん登録でもより高い把 握割合をめざすべきであると考えられる。」と書かれており、
p.6には、その一環の取り組みとして行った国立がん研究センターの取り組みを示しているが、その結果は下記のように悲惨なものでしかありません。
「国立がん 研究センターがん対策情報センターでは、こうした拠点 病院の調査を支援するために、「予後調査支援事業」を 実施しており、平成25年度には142,719件(236施設)、 平成 26 年度には 174,344 件(244 施設)の情報提供を受け、各々2007 年診断例の 5 年後と 2009 年例の 3 年 後(平成 25 年度)、2008 年診断例の 5 年後と 2010 年 診断例の3年後(平成26年度)の生存確認調査として、 がん対策情報センターが患者個人情報をとりまとめて、 市区町村に住民票照会を行う形で拠点病院の調査を 支援した。最新の 26 年度事業では、提供情報の重複 排除やデータの質チェックを行った後、1846 市区町村 に 171,764 件の住民票照会を行ったが、本人同意など の問題から対応できない市区町村(未回答:3 市区町村 を含む)が 197 市区町村(全体の 10.7%)で、こうした対 応不可市区町村に照会した照会件数は 31,663 件で、 全体の 18.4%が照会結果不明となっている。」

これに続けて
「全国がん登録の生存確認調査
平成 28 年 1 月から実施される「全国がん登録」では、 施設での生存確認調査が円滑にでき、その結果をもと に施設のがん医療の質を向上させることを目的に、全 国がん登録で判明した生存確いきがんとうろち認情報を医療機関が利 用することができる仕組みとなるが、平成 28(2016)年の 診断例はこの仕組みでの情報利用ができる反面、それ 以前の診断例では現状のままで、生存確認調査が不十 分であるため、少なからぬ施設が生存率を算出できな いということになる。」
とバラ色の話を語っていますが、これは死亡情報と照合して死亡を把握したもの以外は当該年末に生存とする、従って生存状況把握割合は100%とする手荒なものでしかありません。

問題の解決は、地域がん登録データと全国レベルでの住基ネットとの照合による生存状況把握と、この情報を病院へ還元するという方法しかありません。これが軌道に乗ればperiod analysisも可能となると考えます。

それにしても、付表 1. 生存状況把握割合について、をみると、
http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv_1_2008.pdf
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、対象数が 3,812例で、 生存状況把握割合90.2%で、今回公表基準の90%をかろうじてクリアしているだけで、国際標準とされる95%には遠く及ばないことを知って、愕然としました。

大島 明
大阪国際がんセンターがん対策センター特別研究員


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