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MMWR(2017.09/22, 2017.09/29 発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.10.03

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: September 22, 2017 / Vol. 66 / No. 37

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1.米国ゲイHIV/AIDS啓発デー(2017年9月27日)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a1.htm?s_cid=mm6637a1_w
合衆国では男性間同性愛者(MSM)の推定割合は合衆国人口の約2%。
2015年には新規に診断されたHIV患者の69.8%がMSM、薬物注射者は3.0%。
2014年ではすべてのHIV患者のうちMSMは推定615,400人だが、うち17%は未診断とみられる。
2014年時点のCD4に関する完全なデータのあるMSMのHIV患者358,151人中治療継続者は58%、ウイルス抑制状態ものは61%。

2.HIV感染と診断されたMSMにおけるHIVケアアウトカム(合衆国、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a2.htm?s_cid=mm6637a2_w
2015年には、HIV感染と診断されたMSMの19%がAIDSステージ3に分類され、HIV感染の診断を受けたMSMの75%が1ヶ月以内にケアを受けた。
黒人や25歳未満のMSMは、他の人種および年齢層より、診断から1ヶ月以内にケアを受ける割合は低かった。
2014年末に診断されたMSMのうち、74%がケアを受け、58%がケア継続、61%がウイルス抑制状態。
黒人MSMでは、ケア継続やウイルス抑制割合は低かった。

3.オピオイド中毒大量発生(ウェストバージニア州、2016年8月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a3.htm?s_cid=mm6637a3_w
2016年8月15日、同州ハンチントンにおいて53時間の間に20例のオピオイド中毒者が確認(うち14症例は5時間以内に発生)。
非合法オピオイド常用者のコミュニティに新規の強力な合成オピオイドが持ち込まれたと思われる。
なお中毒に対して応急処置や治療を受けた中毒者はいなかった。

4. タイトルX(合衆国家族計画プログラムに関する法)の基金による保健センターにおける子宮頸がんスクリーニングの近況(合衆国、2005-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/-volumes/66/wr/mm6637a4.htm?s_cid=mm6637a4_w
Title X加入女性における子宮頸がんスクリーニング割合は2005年の51%から2015年には21%に減少。
他の推奨予防保健サービス(クラミジア検査、避妊)についての提供は増加。

5. 屋内ウォーターパークリゾート従業員における呼吸器および眼症候群(オハイオ州、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a5.htm?s_cid=mm6637a5_w
上記施設の従業員は他のリゾート従業員よりも職業に関連した眼および呼吸器症状の割合が4倍高かった。
原因としては換気が不十分で塩素消毒による副産物が空気中で増加したことが考えられる。

6.CDCによる、避妊に関する医療判断基準の更新、2016年:HIV感染高リスク女性におけるホルモン剤による避妊についての推奨に関する改訂
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a6.htm?s_cid=mm6637a6_w
上記リンク参照

7.医療提供者、災害対策従事者、被災コミュニティにおけるハリケーンシーズンの公衆衛生的防災対策、災害時対策、復旧に関するガイドライン(CDC、2017年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637e1.htm?s_cid=mm6637e1_w
上記リンク参照

8.現場から:MSMにおけるA型肝炎ウイルス(HAV)感染報告数増加(ニューヨーク市、2017年1-8月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a7.htm?s_cid=mm6637a7_w
ニューヨーク市においては2011年以来MSMの国内でのHAV感染者数は年間3人以下であったが上記期間に51人の新規感染者数を確認。
うち3人にニューヨーク市の患者との性的接触が確認されている。
なおワクチン接種に関する委員会勧告ではすべてのMSMに対して少なくとも2回のHAVワクチン接種を勧めているが51人中ワクチン接種済みは3人のみであった。

9.流行関連類鼻疽とその検査に起因する曝露(合衆国、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a8.htm?s_cid=mm6637a8_w
2016年6月中旬、タイから帰国した15歳の少女が小児科に咽頭痛、発熱、蚊に刺された部位の両側下腿膿瘍を訴えた。
鼠径リンパ節に進展し膿瘍は悪化したため8月25日に検体を採取。30日に類鼻疽を引き起こすBurkholderia pseudomalleiを確認。
セフタジジムにより肺炎や菌血症に進展せず全快しドキシサイクリンの外来投与とした。
B. pseudomalleiの検査室における感染が報告されているため、検査室の職員のうちエアロゾルに暴露した2人に対してST合剤の予防的投与をしたところ、その後発症はなかった。

10.統計早見図:45-64歳女性におけるHIV死亡率、人種・年齢別(全米動態統計システム、合衆国、2000-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6637a11.htm?s_cid=mm6637a11_w
45-54歳の黒人女性における、HIV死亡率は、2006年の10万人の28.4人から2015年の11.5人に60%減少。
55-64歳の黒人女性では、2000年の10.0人から2008年の14.2人に42%増加した後、2015年には10.3人に減少。
45-54歳の白人女性においては、2005年の1.9人から2015年には0.9人に53%減少。
55-64歳の白人女性においては変化せず、約0.8人。
HIV死亡率は黒人女性では常に、両年齢層で白人女性よりも高かった。

MMWR: September 29, 2017 / Vol. 66 / No. 38

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1.医療従事者におけるインフルエンザワクチン接種率(合衆国、2016-2017インフルエンザシーズン)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a1.htm?s_cid=mm6638a1_w
上シーズン中の医療従事者における接種率は78.6%で、2015-16シーズンと同様。
雇用条件に定められた接種の必須と職場での無料ワクチン提供は、より高い接種率に寄与。

2.妊婦におけるインフルエンザワクチン接種率(合衆国、2016-2017インフルエンザシーズン)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a2.htm?s_cid=mm6638a2_w
上記シーズンでは前シーズン同様、妊婦の53.6%が妊娠前または妊娠中にワクチン接種。
ワクチンを推奨され、かつ提供された女性においては高い接種率(70.5%)であったが、それらの女性でも
公的保険加入者では63.9%、無保険者では30.2%であり、他の社会的要因も接種率に関連していた。

3. 1945-1965年に出生したすべての医療従事者に対するC型肝炎検査義務化についての評価(ニューヨーク州、2014年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a3.htm?s_cid=mm6638a3_w
2014年に同州においてHCV検査法が施行されて1年後には、検査数と検査率は顕著な増加。
増加は法の制定直後に観察され、その後も法制定前よりも高いレベルで安定していた。
HCV検査陽性者でHCV治療を開始した人数はやや増加した。

4. 現場から:調理が不十分であったチキン肝臓ムースを摂取したことによるカンピロバクター大量感染(ワシントン州、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a4.htm?s_cid=mm6638a4_w
2016年6月6日に地元のレストランで開かれたパーティに出席した7人において下痢発生
共通の曝露は同レストランの食事のみであったため保健局はレストランを閉鎖。
3人の患者便からカンピロバクターが検出され、チキン肝臓ムースの非摂取者とのオッズ比は36.1(1.58-828.9)であったためチキン肝臓にしぼって調査をしたところ、
担当料理人は見た目で火が通ったか判断しており、調理が不十分であったと思われる。

5.  アナウンスメント:
2016-2017インフルエンザワクチン推定接種率の最終報告がオンラインで入手可能
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a5.htm?s_cid=mm6638a5_w
上記リンク参照

6.統計早見図:慢性肝疾患および肝硬変死亡率、性年齢別(全米動態統計システム、合衆国、2000年と2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6638a9.htm?s_cid=mm6638a9_w
上記期間に合衆国における同疾患の45-64歳における死亡率は31%増加(10万人あたり20.1人から26.4人に)
男性では21%増加(10万人あたり29.8から36.2)、女性では57%増加(10万人あたり10.8から17.9)
65歳以上では3%増加(10万人あたり29.4から30.2)。
男女とも死亡率は年齢とともに増加。

(今週の感想)
2週まとめて報告いたします。
インフルエンザワクチン接種の話題が多いですが、今年はすでに流行してきているようなのでご注意ください。

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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