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MMWR(2017.11/24, 2017.12/1発刊)

7 感染症 5 トピックス 2017.12.05

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: November 24, 2017 / Vol. 66 / No. 46

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1.全世界で最も混雑している50の空港における禁煙政策(2017年8月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6646a1.htm?s_cid=mm6646a1_w
全世界で最も混雑している50の空港の内、上位10位のうちの5空港を含む23の空港(46%)において完全な室内禁煙政策が取られていた。
北部アメリカでは18空港のうち14空港と多かったのに対し、アジアの空港で完全禁煙政策をとっているものは22空港中たった4空港のみ(4空港とも中国)。
なお日本では羽田空港と成田空港がランクインしていたがどちらも完全禁煙政策をとらず。

2.CDCグランドラウンド:鎌状赤血球症(SCD)患者の生活改善
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6646a2.htm?s_cid=mm6646a2_w
合衆国のSCD患者は約10万人。現在では95%以上が18歳まで生存できているが、SCD非患者と比較して寿命は20-30年短い。
合衆国では、新生児に対する通常のスクリーニングに入っており、その他肺炎球菌ワクチン摂取、ドップラー超音波による脳梗塞の確認などが施行。
またヒドリキシ尿素の成人への投与はSCDによる血管障害を防止するとされており、児童への処方もなされている。
その他、健康政策、コミュニティ、疫学研究などのアプローチについての記述あり。

3.2つの孤発麻疹症例調査に関連した公衆衛生費用(コロラド州、2016-2017年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6646a3.htm?s_cid=mm6646a3_w
2016年7月から2017年1月にかけ、同州デンバーにおいて互いに関係のない孤発麻疹2症例が発生。
それぞれ数百もの人々に曝露していたため複数の公衆衛生機関が協同で複雑な対応を行った結果、68,000ドル以上の費用がかかった。

4. ポリオ撲滅への進展(パキスタン、2016年1月-2017年9月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6646a4.htm?s_cid=mm6646a4_w
上記の期間、同国における野生型1型ポリオウイルス症例は前年同期比45%減。
しかし同国におけるポリオの全主要感染巣(reservoir)地域からはポリオ陽性の検体が確認。
なお2017年9月の時点ではワクチン由来ポリオウイルス感染は確認されていない。

5.  統計早見図:18歳以上の成人における診療所受診の理由が糖尿病関連であった割合、性・年齢別(全米救急医療ケア調査、2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6646a7.htm?s_cid=mm6646a7_w
同年では、糖尿病が18歳以上の成人の診療所受診理由の4.2%
18-44歳の男性(2.2%)では同年代女性(0.4%)よりも糖尿病で受診する割合が高かった。
男女とも18-44歳ではそれ以上の年齢よりも糖尿病で受診する割合は低かった。

MMWR: December 1st, 2017 / Vol. 66 / No. 47

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1.世界AIDSデー(2017年12月1日)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a1.htm?s_cid=mm6647a1_w
世界初のAIDSは1981年6月5日刊行のMMWRにおいて報告。
現在AIDS患者は全世界で焼く3670万人(うち180万人は2016年に新規感染)。
2005年以来AIDS関連死は48%減少しているものの、2016年における全世界でのAIDS死亡者は推定100万人。
2016年では1950万人が全世界で抗レトロウイルス治療を受療(2015年では1710万人)。


2.自発的なHIV予防のための医療上での男性包皮切除(VMMC)サービス(南部・東部アフリカ12ヶ国、2013-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a2.htm?s_cid=mm6647a2_w
VMMCはWHOおよび国連におけるHIV/AIDSのエイズ予防プログラムにおいてHIV感染予防に効果があると認識されている。
上記年において、CDC援助の元、上記12ヶ国において4,859,948のVMMCが施行(2010-2012年と比べ実質的に増加)。

3.違法薬物製造所に対する手入れの最中に起きた、法執行官たちにおける合成カンナビノイド(SC)およびミトラギニン曝露(ネバダ州、2014年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a3.htm?s_cid=mm6647a3_w
違法SC製造所に対して手入れを行った法執行官9人中6人の尿中にSCもしくは同尿代謝物もしくはミトラギニンが検出。
(これは職務上のSC曝露に関する初報告である)
手袋や防護服、飲食の禁止、証拠物に対する取扱の方針はなく、汚染や曝露に関する予防策も講じられていなかった。

4. 不活化ポリオワクチン(IPV)の分数用量接種キャンペーン(パキスタン・シンド地方、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a4.htm?s_cid=mm6647a4_w
世界的にIPVの在庫が限られているため、1/5の用量ポリオワクチン(fIPV)を筋注する接種活動が実施。
いくつかの研究ではfIPVが全用量IPVに劣っていないことを示しており、インドにおけるポリオ接種活動は成功。
パキスタンのハイデラバードにおいて下水からワクチン由来2型ポリオウイルスが検出されたため、シンド地方の4地区で4-23ヶ月児童を対象としたfIPV接種実施。
接種率は82%と高かったものの、筋注に関して技術的課題あり。

5.  バイタルサイン:HIV検査と診断遅延(合衆国)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647e1.htm?s_cid=mm6647e1_w
CDCの全米HIVサーベイランスシステムや全米HIV行動サーベイランスの解析によれば、2015年ではHIV感染者の推定15%が自覚なし。
同年に診断された39,720のHIV感染者中、診断遅延の平均推定値は3.0年(四分位は0.7-7.8年)。
白人(2.2年)<アジア人(4.2年)、女性薬物静注者(2.0年)<異性間性交男性(4.9年)、と性や感染経路に関して遅延格差が見られた。


6.ムンプスのアウトブレイク中における、ワクチン接種済み大学生からの無症候性ムンプス拡散の欠如(ワシントン州、2017年2-6月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a5.htm?s_cid=mm6647a5_w
2017年2月8日、ワシントン大学学生寮においてムンプス疑い症例発生。
7月19日までに同大学生において42名のムンプス患者が確認。
42人中32人(76%)は学生寮住人。すべてのムンプス患者は現在推奨されているMMR2回接種を接種済み。学生寮学生におけるMMR接種率は99%以上。
これまでの研究では、ワクチン接種者からのムンプス拡散は非特異的症状患者や無症候者から起きると思われていたが、今回無症候者からのムンプス拡散は確認できなかった。

7.アナウンスメント:地域共同体予防サービスタスクフォースによる内服アドヒアランス改善のためのテキストメッセージ介入の推奨
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a6.htm?s_cid=mm6647a6_w
下記リンク参照
https://www.thecommunityguide.org/findings/health-information-technology-text-messaging-medication-adherence-chronic-disease

8.統計早見図:20-64歳の成人における高血糖や糖尿病のために過去12ヶ月間に空腹時血糖を検査した割合(全米健康調査、合衆国、2011年と2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6647a7.htm?s_cid=mm6647a7_w
全体では2011年の39.7%から2016年には45.7%に増加。
ヒスパニック(38.3%→43.0%), 白人(39.6%→46.5%), 黒人(41.2%→44.9%), アジア人(41.5%→49.6%)と全人種で増加。
2011年では4人種間に有意な差は見られなかったが、2016年ではヒスパニック系<白人・アジア人。

(今週の感想)
2週まとめてお届けいたします。
ポリオウイルスについての記事が続けてありました。
国際空港での禁煙については、日本は合衆国にも中国にも遅れを取っているようです。
12月に入りますます寒くなりましたが、どうか体調には気をつけてお過ごしください。

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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