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MMWR(2018.2/2, 2/9発刊)

7 感染症 5 トピックス 2018.02.15

CDC発刊のMMWRのハイライトをご報告いたします。

MMWR: February 2, 2017 / Vol. 67 / No. 4

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1.全米HIV/AIDS啓発デー(2018年2月7日)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a1.htm?s_cid=mm6704a1_w
2014年では黒人は合衆国人口の12%であるが、合衆国HIV感染者のうち43%を占めている(推定471,500人)。
2016年では新規HIV感染者の44%が黒人。
2014年ではHIVと診断された黒人のうち69.8%がHIV医療ケア受療、51.5%がウイルス抑制状態。

2.HIVケア受療者におけるウイルス抑制持続と感染リスクポテンシャルに関する人種的格差(合衆国、2014年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a2.htm?s_cid=mm6704a2_w
2014年では黒人はヒスパニック系や白人と比較してHIV感染者の内ウイルス抑制状態にある割合が低く、感染のリスクが高い。
特に13-24歳の黒人において、ウイルス抑制持続の割合は最低。


3.中高生におけるタバコブランド嗜好性およびタバコ広告の好み(合衆国、2012-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a3.htm?s_cid=mm6704a3_w
上記期間における全国青少年タバコ調査によればMarlboro、Newport、Camelのブランドが中高生には過去30日間の間にもっとも好まれたタバコであり、2016年ではこれら3ブランドで中高生喫煙のそれぞれ73.1%と78.7%を占めていた。
これら3つのブランドは2012年では「お気に入りのタバコ広告」として最も名が挙げられていた。
電子タバコにも通常のタバコにも広告で接していないと回答した現在喫煙者については、広告に接していた喫煙者より、上記のよくあるブランドを好む割合が有意に低かった。

4. 噴霧式殺虫剤Total release foggers(TRF)に関連した急性疾患及び外傷(10の州、2007-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a4.htm?s_cid=mm6704a4_w
上記期間で10州において急性TRF関連症例3,222症例が確認。
ラベル改訂後3年間にはTRF関連症例の有意な低下は確認できず。
TRF関連疾患について最も報告された原因は、「噴霧実行中の施設から人を避難させなかったこと」「噴霧発生後に施設への入室が早すぎたこと」であった。
「噴霧実行中の施設から人を避難させなかったこと」「噴霧殺虫剤を過度に使用したこと」は中程度から重度の疾患に関係していた。

5. ラット及びラットの飼い主におけるSeoul Virusアウトブレイク(合衆国およびカナダ、2017年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a5.htm?s_cid=mm6704a5_w
Seoul virusはハンタウイルスの一種であり、ドブネズミにより媒介され、ヒトではインフルエンザ様症状のような軽度から腎不全のような高度な症状まで多彩である。
合衆国及びカナダにおける同ウイルスの調査により、発生は11州にまたがり、17人が同ウイルスに感染し、8人が発症、3人が入院し完治、と判明。

6.現場から:危険な注射に関連したHIVアウトブレイクに対する公衆衛生的対応(カンボジア国Rokaコミューン、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a6.htm?s_cid=mm6704a6_w
カンボジア人は一人あたり1年に0.8-5.9回の治療薬の注射を受けており、全世界的にみて高率。
ただ安全でない注射も多く、2015年にRokaコミューンにおいて242の新規HIV症例に対して行ったケースコントロール研究では、無免許医療従事者による注射が主な原因と推測。
これを受けてカンボジア政府は無免許での医療行為を禁止。
その後、115の注射イベントを調査したところ、無開封の針やシリンジは使用していたものの、患者確認の不備やリキャップも多く見られた。
また医療従事者39人にインタビューしたところ、HIVが血液感染するとは知っていてもB型・C型肝炎については血液感染すると知っている割合はそれぞれ79%、62%と低かった。

7.統計早見図:電子健康記録(EHR)を用いている介護施設の割合、ベッド数別(合衆国、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6704a8.htm?s_cid=mm6704a8_w
同年では全体で26%の施設がEHRを使用。
ベッド数が多くなるほどEHR使用割合は増加し、4-10床の施設では12%、11-25床では28%、26-50床では35%、51-100床では43%、100床以上では50%

MMWR: February 9, 2017 / Vol. 67 / No. 5

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1.10-24歳に対する非致死的暴行(合衆国、2001-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705a1.htm?s_cid=mm6705a1_w
2015年における上記年代の非致死的暴行割合は10万人あたり753.2人で過去15年の間で最低。
特に2011-2015年にはどの年代の男女とも減少。
2015年の救急部に搬送された若年者のうち、暴行に伴う外傷のあったものは485,610症例。

2.共有家畜(Herdshare)からの非加熱牛乳の摂取にともなうフルオロキノロン耐性Campylobacter jejuniアウトブレイク(コロラド州、2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705a2.htm?s_cid=mm6705a2_w
コロラド州では非加熱牛乳販売は禁止されているものの、家畜を共有し、その家畜から出た牛乳を自身が摂取する場合は法規制がされていない。
2016年8-10月、上記菌による12の確実な症例および5の疑わしい症例が共有家畜牛乳を摂取した人々から確認。
家畜共有主には当アウトブレイクについての情報を通知したものの、乳製品の販売差止めはできていない。

3.児童における喘息(合衆国、2001-2016年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705e1.htm?s_cid=mm6705e1_w
合衆国では約600万人の児童が喘息に罹患していると推定される。
上記期間の児童(0-17才)を対象とした全米健康調査の結果、男(9.2%)>女(7.4%)、5歳以上(約10%)>5歳未満(3.8%)、黒人(15.7%)・プエルトリコ(12.9%)>白人(7.1%)、低所得層(10.5%)>中高所得層(約7%)。
2001年(8.7%)から2010年(9.4%)まで増加し、2016年(8.3%)に減少。
喘息罹患児童に関しては、過去12ヶ月間に発作があった割合は2001年から2016年の間に有意に減少。
0-4才児ではそれより上の年齢よりも有病割合は少ないにも関わらず、救急搬入や入院の割合は高かった。
また、2013年には5-17才の喘息児童はのべ1380万日、学校を欠席(1児童あたり2.6日)。
喘息管理については2003年から2013年の間にかなりの改善。
詳しくは下記リンク参照
https://www.cdc.gov/vitalsigns

4. ワクチン諮問委員会による、18歳以下の児童および青少年に対する予防接種実施に関する勧告(合衆国、2018年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705e2.htm?s_cid=mm6705e2_w
https://www.cdc.gov/vaccines/schedules/index.html
上記リンク参照。
ポリオウイルス、インフルエンザ、MMRについての改訂、ロタウイルスや肺炎球菌についてのワクチン勧告の明確化などの掲載あり。

5.  ワクチン諮問委員会による、19歳以上の成人に対する予防接種実施に関する勧告(合衆国、2018年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705e3.htm?s_cid=mm6705e3_w
上記リンク参照。
帯状疱疹ウイルスについての改訂あり。

6.免疫グロブリン静注を最近受けた患者における狂犬病診断についての潜在的交絡
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705a3.htm?s_cid=mm6705a3_w
狂犬病診断は、狂犬病ワクチンを過去に接種していない患者における、狂犬病ウイルス中和抗体(RLNA)存在によってなされるものの、免疫グロブリン静注については考慮していない。
当記事では症状は狂犬病に矛盾せず、過去に狂犬病ワクチンを接種しておらず、血清RLNA値が高値であった6人の患者についての報告である。
その患者も狂犬病の診断を受けておらず、免疫グロブリン静注のためにRLNA値が高値となった可能性がある。

6.大学の女子寮における狂犬病曝露リスク評価(インディアナ州、2017年2月)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705a4.htm?s_cid=mm6705a4_w
同州のある大学女子寮にはコウモリが生息。同州では4.3%のコウモリが狂犬病陽性である。
同寮に出入りした148人を同定し、コウモリへの接触の有無を調べた結果、4人が高リスクと判明。
曝露後予防のために狂犬病抗体および狂犬病ワクチンを接種した結果、1年後の2018年2月時点までに発症なし。

7.喘息患者による救急受診の割合、性・年齢別(全米病院救急医療ケア調査、合衆国、2014-2015年)
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/67/wr/mm6705a5.htm?s_cid=mm6705a5_w
上記期間で、喘息患者は合衆国の全救急受診者の9.5%を占め、5-17歳では最も高く13.6%。0-4歳では6.6%、18-64歳では9.9%、65歳以上は6.5%。
0-4歳の男児では、女児よりも喘息による受診割合が高かったが、18-64歳、65歳以上では女性のほうが多く救急を受診。
5-17歳では性差は統計的に有意ではなかった。

(今週の感想)
2週まとめてお送りします。
遅くなってしまい申し訳ありません。
Herdshareについては工場製品を嫌う人々に人気があるようですが、法律により規制しにくいというのは恐ろしくもあります。

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佐野 尭 (さの たかし)
自治医科大学 地域医療学センター
公衆衛生学部門


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